
【マリオネット・レシーバー】
| 正式名称 | 緊急時他者介入装置 |
| 属性 | 電波 |
| 装備箇所 | 髪 |
| 重量 | ほんのり |
| 攻撃力 | α |
| 対・突き | 壊れる |
| 対・斬り | 壊れる |
| 対・打撃 | 壊れる |
| 防御力 | -114 |
| 魔法力 | 痺れる |
| 射程 | 十円ハゲ |
| 使用回数 | ∞ |
| かっこよさ | たまに隠れる |
| せつなさ | 外れない |
| いやらしさ | まっくす |
| 特殊能力 | 装備者を操ることができる |
| 発動条件 | 想いを言葉に |
取り扱い説明書
「戦闘等で意識を失ってしまった装備者の肉体を他者が操ることで、装備者の危機を救う」
それが本製品のコンセプトです。
パッと見なんの変哲もないメカニカルな髪飾りですが、その性能故にスッポン級の恐ろさを隠し持っています。
なんとこのアイテム、一度身につけると装備者が自力で外すことはできません。
つまり……
このアイテムを愛しの人へプレゼントすれば……へへっ。

なんて、悪いことは決して考えないでください。
刻まれし記憶
私には空を見た記憶がない。
まだ目が見えていた幼い頃に見ていたはずなのだが、今ではまったく思い出すことができなかった。
常に付き添ってくれる人に助けられながら、白でも黒でもない世界を見ながら生きる。それが私の人生だった。
それでも聞くことと喋ることはできたので、自分のことを悲観したりはしなかった。
朝に目が覚めれば挨拶を交わし、たわいのない話を食事のときに聞いて笑ったりすることも出来る。
目が見えていなくても楽しいことはたくさんあった。
ただ一つだけ不満があるとすれば、空を見ることが出来ないことだけだった。
付き添いの彼女に読んで聞かせてもらった本の中でも、空の本が一番好きだった。
その本の内容を聞きながら、自分にとっての空は一体どんな姿をしているのだろうかとよく想像した。
空のことを尋ねると「綺麗なものだよ」と父は返事をしてくれた。
私の父にとっての空は、宇宙だった。
宇宙飛行士である父に言わせれば、宇宙こそ空と呼ぶにふさわしいものだそうだ。
私にとっての空は宇宙よりも綺麗に違いないと私は思っていたが、父には言わなかった。
想像はいくらでも膨らんだ。
雲一つなく澄み渡った青空。
光が届くもの全てを赤く染めてしまう夕焼けの空。
黒い世界が月明かりに照らされる、厳かな夜空。
雪が降り積もる、艶やかな白い空。
黎明どきの、薄暗さの中に強い光を持った空。
どこまでも広がるプールに無限の雲が泳いでいる空。
そのどれもが私には見たことがなかった。
そしてそのどれよりも綺麗な空を私は想像した。
もはや空のこと以外に私は興味がなくなってしまいそうだった。
空を見たい気持ちがどうしても我慢しきれなくなったとき、私の目が見えるようになることを知らされた。
遠く離れた国の技術なら視力を取り戻すことが出来るらしく、父は今までに得た名誉と栄光の証を使って私の目を治すことに決めた。
手術は私にとって、あっけないほど早く終了した。
手術が終わると、あとは時間が経つのを待つだけだった。
手を握ってもらいながら、私は最後まで空のことを想像した。
そしてそのときはやってきた。
今まで閉じていた目が開くと、そこには私にとっての空が存在するはずだった。勇気を出して瞼を上げていく。
人工的な光が差し込んできて、世界の明るさを教えてくれた。
まず目に映ったのは、薄い頭の中年男性だった。
私は一瞬誰なのだろうかと考えたが、彼の涙が浮かんだ瞳を見て自分の父であることに気がついた。
彼はテカり輝く額に、母の形見である機械的な髪飾りをつけていた。
白いベッドのすぐ近くには窓があり、そこから外を眺めることが出来た。
その窓から見えた景色は、灰色の雲に覆われてしまっていた。
病院から離れた所に工場が建っていて、そこから吐き出される黒い煙が灰色の雲に吸い込まれるように立ちのぼっている。
そこに存在した世界には、一筋の光ですら通っていなかった。
その悲惨な光景に目の前が霞む。私は窓から目を逸らした。
だがそれでも、ついに私は空を見ることが出来たのだ。私にとっての光はいつも近くにあった。
「あなたが、空か」
そう、いつも私の面倒を見てくれていた彼女が、私のすぐ側に優しく微笑みながら立っていてくれた。
