
【グリーン・ゲル】
| 正式名称 | 深緑軟泥物 |
| 属性 | 植物 |
| 装備箇所 | ナビ |
| 重量 | 5g |
| 防御力 | 590 |
対・突き |
無効 |
| 対・斬り | 無効 |
| 対・打撃 | 無効 |
| 攻撃力 | ワンオアエイト |
| 魔法力 | 4% |
| 射程 | 0 |
| 使用回数 | 使い切り |
| かっこよさ | 数時間で消滅 |
| せつなさ | 光合成 |
| いやらしさ | 毒性 |
| 特殊能力 | 石以外全てを同化させる |
| 発動条件 | 赤い実が弾けたとき |
取り扱い説明書
一度とりつくと、獲物を決して放さないトリモチ系アイテム。
効果は数時間で消えるので、使用されてしまった人はただひたすら我慢し続けてください。
代表的な作り方は以下の通りです。
①緑色の吐瀉物に、スライムコントロール剤をあえて混ぜ合わせる。
②吐瀉物の臭いがなくなるまで混ぜれば完成。
刻まれし記憶
ジャリ。
元は人を太陽の光から、寒暖から、夜の闇から守るために存在していた衣服の成れの果てを、二人の男が踏みしめる。
名のあるデザイナーが己の名声にかけて造りあげたその芸術も、今となっては道ばたの敷物でしかなかった。
華やかだった大通りには瓶、ゴム、血痕、眼では把握しきれない数の争いの破片が転がり、
霧なのか空中に塵が舞っているのか、街は薄暗さに包まれている。
大通りを飾っていた赤く鮮やかな看板、眩しいほどに緑に溢れていた木々、
人を乗せた大型車のために目立つ黄色に塗られたバス亭。
それらはその生命の象徴であった色を失い、まるで自分達の街はどうなってしまったのかと首を傾げているように傾いていた。
二人の男は呼吸のために霞んだ空気を肺に送りながら、ゆっくりと大通りを歩く。
傾いた看板や木々と目を合わせぬようにと自分の歩く道を見つめ、明るく開けた道ではなく破片だらけの砂利道を歩く。
バス亭にはバスの代わりに根無し草が泊まっている。
そこが、彼らの歩く道だった。
視界の隅に捉らえてしまったのか、大通りに向けて
ぽっかりと大きく口を開けているホテルらしきものを見つけて、左側を歩いていた男は歩みを止めた。
ズボンの裾を中に入れたブーツと、皴のよったシャツをホテルへ向ける。
「終わったんだな」
「……ああ」
右側を歩いていた男も向きを変え、憧憬の建造物を見つめた。
左側の男とは違いブーツから出したスラックスを履いた足が、静かな世界に物音を立てる。
彼らが見上げたネオンだらけのホテルには、彼らの国旗が掲げてあった。
二人はその旗の先にあるものを見ようとして、目を閉じる。
すると、突如として街を覆っていた薄暗い空気が揺らぎ始めた。
街を覆っていた霧や塵を貫くように太陽からは光が降り注ぎ、大通りの看板は赤に、枯れていた木達は緑に、バス亭は黄色に輝きだす。
街に色が戻ってくると風が起こりだし、太陽に貫かれて散らばった空気を洗い流した。
空は青く晴れ渡り、太陽によって描かれた世界のキャンパスは息を吹き返したのである。
二人の男は目を開け、己の国の旗ではなく空を見つめていた。
見知らぬ同士達も、自分達と同じ空を眺めているに違いない。
ジャリ。
二人の男は自らの道を再び歩きだす。
その道はキャベツ色の吐瀉物だらけだったが、姿を現した太陽に祝福されていた。
夜は明けて、合コンで破れた彼らも家族の下へ帰る時がやってきたのだ。
